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小川てつオ著 「このようなやり方で300年の人生を生きていく – あたいのルンルン沖縄 一人旅」
キョートット出版

 〒615-0062  京都市右京区
 西院坤町126
 tel&fax 075-321-3834
@kyototto

キョートットの本

著者は 「居候ライフ」で注目され、現在公園でホームレス生活をし、そこでカフェを運営している小川てつオ(37)。
19歳の時、やったことの似顔絵屋しながら沖縄を旅します。
そのときの日記、絵を収録しました。そして、彼は10年後また沖縄を旅します。

あらすじ – 本文から

19才。この時の僕は、全くもって、はばたきたかった。それも、当然のこととして。

「こういうやり方で300年の人生を生きていく」

このような旅行をしていると必ず「若いうちだけだよ。」とか「思い出作りだね。」とかいう言葉をはげましとして言われるのだが、これもあたいは、イヤだ。
旅行をいつまで続けるかとかいう事ではなく、このようなやり方・精神で、三百年の人生を生きていく、そのためのむしろ準備体操のそのまたアキレス腱のばしにすぎない小旅行において、このような言葉は、実に退行的に聞こえる。

こんな旅 – 「じいさんと将棋をさしつつ年を越す」

銭湯で、テントをはれる場所をたずねると、そこへちょうどやって来たおじいさんがいて、その人の家に泊まる事になる。
おじいさん(タクシーの運転手)が、幽霊の話をたくさんしてくれる。また、那覇にも糸満にも首里にも、至る所に「石敢當」 と彫り込んであるのだが、それは、一種の魔除けで「石とたたかえ」(人間とたたかうな)という意味らしい。
老人の定番、戦争の話もたっぷりきく。お礼に似顔絵をかく。

老人、「色が濃すぎる」と不満足そう。

12/30

とおい国から、やってきた
おちゃめなモンキー・ピグミーくん!
くるくるしっぽをまきあげて
ユラユラユラユラ
ブランコあそび
恥ずかしがり屋のピグミーくん
あなたとお話ししたいんだって
と語るピグミー・モンキーの他、家の中に、巨大硬貨や、様々な時計、人形、おもちゃ、写真、工芸品が入り乱れ、ものすごいアナーキーとカオスがうずまいている。
しかし、庭を見た時、私は言葉を失った。ごまんと積み上げられた巨大な廃棄物の間や上を、あひる・にわとり・犬・猫、が動き回っているのだ。
もう一日、泊まる事になる。三〇〇円出せば、お腹いっぱいたべられる沖縄の食堂は、えらいと思う。
銭湯をただにしてもらう。

12/31

糸満市場で、似顔絵描きをやる。人は集まってくるのだが、いざ声をかけると、だれもが断る。恥ずかしいようだ。
結局、一人もかけないまま、むなしく、島袋家に帰る。
じいさんに夕飯をおごってもらう。その後、じいさんと二人で銭湯へ行く。
この銭湯は、深夜になると幽霊が出るため、夜九時までしか営業していない。月に一度は、坊主が来てお経をあげる、ありがたいお湯に一時間入る。
じいさんと将棋をさしつつ年を越す。じいさんに新年のあいさつと誕生日(七六才)の祝言をする。

「また、めしを出してくれる。 とにかく、死を覚悟して食べる。」
「ファンキーとしか表現できないノリで、サトウキビのとりいれを手伝うとおばさんたちに次々と求婚される。」。
「似顔絵描きだぁ。世の中甘くみてんじゃねぇか!俺はお前みたいなやつが大嫌いなんだ。」

この沖縄旅行を通してぼくは、社会の肌合いの多様さを感じていた。人の顔が見えてきたのだ。ああ、全く似顔絵とは、人の顔を見るということだ。ぼくが無意識に選んだ「似顔絵」とは僕の社会への踏み出し方だった。

「死の後を生きるということは、続きをつくるということ」

ぼくは、思わず服をぬいで水に入った。冷たくはなかった。少し泳いで、浜にあがって「ドロドロー」と叫んだ。

10年後、てつオはまた沖縄を旅をする。10年前にであった人、変わったこと変わらないこと、時間と死をめぐる旅になる。
それは、10代、20代の若者だけではなく、すべての人のこころにひびく。

装丁

表紙の絵は大阪在住の画家・つき山いくよ。19歳のてつオをイメージを、折り込みちらしの裏にさらっと描いてくれました。「あまり、上を飛んでない方がてつオさんらしい。」
表紙の紙は沖縄らしく、パガスパルプ100%(サトウキビの絞りかすから作られる)です。

感想

小川さんの文章はいい、ということは知っていたけど 19歳のときからいいとは知らなかった。

15年前、19歳の小川さんは 似顔絵描きの道具を抱えて一人沖縄へ出発する。 テントを張り、出会い、食べ、絵を描き、トラブり、また会い、もらい、あげて、歩く。
ページをめくりながら、 エノアール(代々木公園で暮らす小川さんが運営する屋外カフェ)での 今の小川さんの営みそのままが浮かぶ。

住人のおじさんと将棋をさし、おじさんを負かして、お茶を入れ 私と息子の似顔絵を描いてくれた。(やっぱり似てない) 同じだーほんとうに小川さんは 「このようなやり方で300年の人生を生きてい」ってる。

読み終わって、自分のやり方で人生を生きるためには 知恵と信念と愛嬌が大事だなあ、とも思った。 家庭でも学校でも教えてくれないから いろんな人がこの本を読むといいなと思う。

大林えり子(ブックギャラリーポポタム

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