京都の銭湯政策について
私、10年以上前に、京都市の銭湯行政について意見書を書いた。当時、保健福祉局がパブリックコメントを募集していたのだ。川柳募集など危機感のない全くボケた施策ばかりだったので、怒りをもって書いている。
このときから10年だった。
ゆとなみ社の動きとかサウナブームなど前向きなこともある。しかし、門川市政の無策もあり、恐ろしい勢いで廃業が続き、この時の提言は、手遅れになりつつある、、、
* 以下、10年前の意見書を公開する
大学で京都に越して以来25年間、かなり引っ越しはしたが、ほぼずっと京都で内風呂のない生活をしてきた。つまり、風呂屋さんに通ってきた。わたしにとって、風呂屋はまさにライフです。私は風呂屋によって生かされてきたのです。
いま、風呂屋がどんどん廃業している。とくに、この4、5年は門川市政の無策もあって、恐ろしい勢いで廃業がすすんでいる。利用者としては、今までは、こちらの風呂屋がやめたとなれば、非常に残念だがあちらに行くかというかんじはあった。今やところによっては近くに風呂屋がないという地域も生まれている。我々の生活の危機である。
かつて風呂屋の楽園であった京都、それは豊かなコミュニティーと生活があった京都、その影も薄くなった。
風呂屋の廃業を止め、復活させていくというただ一点の気持ちから応募する。
活性化うんぬんの前に廃業を止めることである。
まず、保健福祉局は危機感を持っているのか問いたい。大切な風呂屋を守る気があるのか、川柳募集とかのレベルですむ話ではない。風呂屋はライフラインであるとの認識があるのかどうか。
1.以下述べるとおり、財政出動は必須となる。保健福祉局は本気で予算をとりにいってもらいたい。
2.活性化の一番の施策は、いうまでもなく、風呂屋の入湯料を下げることである。この20年、物価は下がっているのに、料金は2倍近くになっている。せめて、200円くらいになるよう、市税を投入すべき。また月、3000円くらいの定期券を創設するもいいかもしれない。
3.後継者不足について。まずは、行政がしっかり支援し風呂屋を守る姿勢をみせ、風呂屋は斜陽産業ではない、未来があるということを示すことが大事。そのうえで、後継者育成プログラムを組合などと創設していく。
4.老朽化対策。今ある釜が故障したら廃業せざる得ないという話も聞く。設備投資に対する財政支援も必須だろう。
5.廃業したものの、まだ壊していない風呂屋が市内各所に相当数ある。これを改装し、市営で営業するとか、新規開業したいものに貸すなど、復活させる方法を考える。後継者育成事業とリンクをさせていく。
6.風呂屋は、風呂無しアパートに住む、貧乏人、年金の少ないお年寄りにとって、なくてはならないもの。まさに貧困世帯のライフラインである。
また、風呂屋は家風呂より気持ちいい。これは、貧乏であってもクオリティー オブ ライフを高めることができることを意味する。維持のために、福祉予算を投入すべき。
7.もともと京都の町家には風呂がなく、風呂屋にいくことが前提だった。まだ、改装せずに風呂場を持たない町家がある。京都らしい街並や生活を維持していくためにも風呂屋は必須。
8.独居老人における風呂屋の意味は大きい。自宅風呂での死亡事故防止となるだけではなく、孤独死防止の見守り効果もある。毎日風呂屋に来ていただくことで健康管理等につながるシステムを考える。民生委員等との連携なども。
9.商店街の中にある風呂屋は、街づくりにおいて重要である。利用者としては、風呂帰りに寄れる、立ち飲み屋とか、ソフトクリームが食べられるたこ焼き屋など、大阪の下町的な店があるとうれしい。
商店街との活性化施策とリンクさせ、その資金を風呂屋にも投入する。風呂屋を復活させる場合、商店街にある風呂屋を優先させるのが良いかもしれない。
10.風呂屋の利用拡大による、家風呂使用減には、CO2抑制効果がある。温暖化防止予算を風呂屋にも使う。利用促進キャンペーンを行う。(もちろん、料金を下げるのが一番効果的)
11.環境問題と関連させ、研究開発を行う。今、残っている風呂屋は燃料を廃材のところが多い。(重油のところは、燃料費の上昇に耐えられなかった)
廃材利用は、化石燃料の使用を減らし、CO2を減らす効果が大きい。ゴミ減量効果もある。おがくず、間伐材、街路樹の枝、落ち葉等さまざまな廃棄物が使用可能なボイラーを開発していく。それらが循環可能な社会システムを開発していく。
12.また、風呂屋のボイラーによる小型発電も可能なのではないか。研究開発をすすめる。売電による風呂屋の副収入となるうえに、脱原発時代の電気の地産地消にも寄与する。
13.風呂屋は災害時のライフラインとして非常に重要である。阪神大震災のとき、風呂屋の果たした役割は大きかった。風呂の供給はもちろん、地下水を利用している風呂屋は水の供給源ともなる。
廃材、地下水で営業している風呂屋は、ライフラインが全て止まっても、営業できる。防災拠点としてとても重要であるので、きちんと整備していく。
以上、福祉、街づくり、環境、産業、防災、各方面から風呂屋の重要性や可能性を述べた。縦割りでは無理かもしれない。
福祉保健課が中心となって、京都市政のそれら各部署を横断する、風呂屋振興のプロジェクトを、立ち上げるべきではないだろうか。キャンペーンを張り、市税ほかの財源を確保し、入湯料を200円まで、さげる。それが活性化の第一歩である。その手伝いをしたいと考えている。