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父とパチンコ
キョートット出版

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キョートットの本

父の書いていた「死の中」という小説の大筋は、
死を三日前にした男が大都会をさまよい歩き、ここなら誰にも知られまい、と考えて川の中に入っていくというものだ。
(そして、死に際して、今までの人生で出会った人々が現れ、彼らと対話にする、そこがたぶん一番のクライマックスになると思われる。)

見舞いに来てくれた父の古い友人は、その小説の構想をきいたとき、もう死ぬのになんで自殺するのかと思ったのだそうだ。

また父は、病院で死ぬのは嫌だ(チューブやコードをつけて)、といっていたようだ。

でも、父はパチンコ店で倒れ、衆人に見守られながら救急車で病院に運ばれ、ベットで一ヶ月のあいだチューブをつけられることになった。

でも、私は死の中の主人公もパチンコ店で倒れる父も、父らしいと思うのです。

さて、母がそのパチンコ店に行って、話を聞いてきた。
(母は、父がパチンコ店で倒れたことをあまり認めたくないようだ。家探しのときに、近くにパチンコ店がないか気にしていたくらいだから。東青梅駅はめずらしく駅前にパチンコ店がない。)

父はそのパチンコ店の常連さんだったという。はじめてきたとき、
「山歩きをしていたらおかしな所を見つけました。」
と語ったという。

店内の休憩所にいるホームレスの人たちに、お一つ、と隣のスーパーで買ったパンをあげていた。

父の机には、
「パ、やめなくては。」
というメモがあったという。

(注:母は話を現実よりも本当らしく語る癖がある。)

パチンコの思い出1
私が小学生2年生くらいのとき、父とてつオと3人でどこか旅をしていた。たぶん、中央本線にのって。
大月か甲府あたりで列車の待ち合わせになった。少し時間があるから、と外にでるとパチンコ店があった。そこにすっと入った。
なんでしょ、列車の待ち時間に駅前のパチンコ店に入る、それをとても「旅」っぽいとおもったんでしょう、それでなんか覚えているのです。

パチンコの思い出2
父にはよく散歩に連れて行ってもらった。
一つの定番のコースは、
焼き鳥屋からパチンコ店というコース。
焼き鳥といえば、東京のソウルフード。
豚 の内臓を串に刺したものを店前で焼き、煙は路上へ、店内は立ち飲みで、基本は焼酎、受け皿にこぼれるまでお酒をそそぐ、まず、その受け皿にこぼれた酒を飲 む。そんなんでお酒を飲んでる横で、子供の私らは、焼き鳥をもらう、私はモツ(豚の腸)が好きで、いつまでかんでもなくならない。
父は長居はしない、一杯のんだらさっと外へでる。

父とパチンコ店に入ると、私とてつオは、床に落ちているパチンコ玉をさがすのが楽しみだった。
床にぴかと光る銀色の玉 !

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comments
  1. cheerme Says:

    面白いです。おとうさんのお話面白いので
    もっとたくさん書いてほしいです。

  2. ちの Says:

    きょうへいさん、お父さん譲りなんですね。やさしいところとか。子供二人つれて焼き鳥屋とパチンコ屋に行けるなんてかなりの育児上級者ですね。見習いたいです。

  3. 小川恭平 Says:

    ああ、育児だったのかもしれませんね。
    散歩のとき、父は大声で歌を歌っておりました。

    いろいろ思い出します。(確かに話にしてみると面白いことが多いみたい。)

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