左京区の九龍城

こんな夢をみた。

たしか夏目漱石の夢十夜はこんな出だしだった。黒澤の映画にもこんな出だしのがあった。
夢の話はつまらないと言われる。たぶん、つまらないのではなくて、夢の話、それをするのは難しいのだろう。

こんな夢をみた。
夢に出てくるところには以前行ったことがあった。朝、目が覚めたときにはそう思った。そう思ったのだけど、実際それがどこだかわからない。左京区、浄土寺西田町のあたり、または吉田福ノ川町あたり。でも、そんなところには、こんなところはないだろう。

夢で何度も訪れているのか、左京区の九龍城。
木造のアパートのせまい階段を上るととてもせまくて入り組んでいる。こっそりと、左へ。(ああ、ここでほとんど昨日の夢、忘れていることに気づく。)

冷静に考えてみると、いろいろなイメージが混ざってできあがっているようだ。人一人通れるくらいの路地が入り組んだ吉田の南のあたり、京大吉田寮、そして裏寺町にあったもともと遊郭(そんなりっぱなものではなく)だったかのようなアパート、忍び込むととても入りくんでいるけど空き部屋ばかり、奥におばあさんが一人で住んでいた、…。(今はもうない)

昨日の夢のアパートでもあばあちゃんがミシンを踏んでいた。部屋はどこも小さくて丸見えだ。せまい廊下の曲がり角が少し広くなっていて、そこに丸いたらい、中におじいさんが入って行水をしていた。