Dearキクチさん、韓国で
7月、私は北海道からあわてて帰ったのですが、それは東京で韓国のolbyeo社のChoi Gangmun さんと会う約束をしていたからです。
待ち合わせ場所の東京ブックサイトにいくとすでにChoiさんはいて、がっちりと握手をかわして再会を祝いました。
そして、契約。
いちむらみさこ著「Dearキクチさん」の韓国での出版が決まりました!
みさこさんもやってきて、デザインについての話などします。
絵のこの色は、韓国の人には少々メランコリックに感じられる。もっと、vividな色にしてみたい。
色を変えたサンプルを見せてくれる。
扉に、見出しを付けたい。(今は、Dearキクチさん、と日付しか入っていない。)
ここに封筒のイラストを入れたい。
タイトル、このタイトルでは、韓国の人には何の話か、わからないので変えたい。まだいいタイトルが思いついていない。
最後にみさこさんのインタビューを入れる。
サンプルをみて、文字がハングルになっているのを見て、本当にでるんだ、と感動しました。
choiさんの意見は納得できることばかりでした。本を作ってきた編集者というのが伝わってきます。
「Dearキクチさん、」という本は、奇跡のような本です。
この本を作っているとき、私はまだぜんぜん編集というものが分かっていなかった、というか、作りながら編集ということを知っていった感じなのです。
だから、著者のみさこさんには本当に迷惑をかけた。
方針も定まらず、出来上がりの姿も見えず、これは本として仕上がらないのではないか、と思った時もあった。ああ。
出来上がってみると、いい本になった。奇跡みたいに。今後わたしはこれ以上の本は作れないのではないか、というような。
それは、みさこさんの力、みさこさんが本の中で作り出そうとした世界が本当に素敵だったということが一番だ。
でも売れる本にはならなかったように思う。
原因は私の実力不足、編集の力不足だったと思います。売れる本、という言い方だと、語弊があるかもしれないけれど、それは読者をしっかりイメージした本作りということでしょう。わかりやすくすること、伝わりやすくすること。
それがちょっと足りなかったのかもしれない。
最近思うのは、編集とは道をつくることだな、ということ。著者の作る世界を読者が旅をしていくための道を作っていくこと。
Choiさんの話はとてもわかりやすかった。それは、出来上がりの姿がはっきりと見えているからだと思う。韓国の読者にちゃんと伝わる本になると思う。
Choiさんは胸をたたきながら、最後にいうのだった、いい本になるように私の全力をつくします、と。
どんな本が出来上がるのか、私は楽しみで楽しみで仕方ない。