Dearキクチさん(その1)

東京に行って来ました。
それは、いちむらみさこさんの本を作るため。
原稿、そして、絵、レイアウト、だいぶ出来上がってきていて、(みさこさんがコツコツ作ってきていて、)これから、キョートット出版としての本づくり、本格開始です。

思えば、今年の春、 いちむらみさこさんの住んでる公園を訪ねた際、少し散歩する機会がありました。
そのとき、みさこさんから、キクチさんが公園から去った、そして、あういう人がいなくなって、公園がちょっとつまんなくなった、という話をききました。
そして、キクチさんがどんなに面白く、素敵だったかということを目をかがやかせながら語るのです。

2年前の夏、てつオが公園でテントぐらしをする、そして今日テントをたてる丁度その日に、そのことに興味をもっていたいちむらさんと一緒に訪ねたのです。
はじめていった、その場所は、ベニヤなどで作った小屋などがたちならび、新しく村が出来ている。てつオが最初に行ったとき「こんなことやってるんだ!」と思ったそうだけど、その気持ち、ここに住もうと思った気持ちがわかりました。私も、興奮して、てつオの説明をきいたりしていました。
みさこさんも同じだったのではないだろうか?
帰り道、ブルーテントの並ぶ小道を歩きながら、みさこさんは「女の人も住んでいるのだろうか?」と繰り返し言っていました。わたしは、そんなに意識していなかったのだけど、確かに見かける人は男と思える人ばかりでした。このとき、いちむらさんは、ここに住んでみようと、もう思っていたのではないかと思うのです。

その正月、行ったときにはいちむらさんは公園に住んでいました。そして、てつオとみさこさんのテントのあるあたりは絵のあるカフェ「エノアール」になっていました。
そして、ここで「絵を描く会」をするという話をききました。
また、ここには女の人が結構住んでいて、その人たちに声をかけて「ティーパーティー」を
するつもりという話をききました。
みさこさんは、その意図を話すということはあまりしません。しかし、その場その場で考え自分に必要なことまわりに必要なことを考え、丁寧に大胆に実行するひとです。

次の夏に行ったときには、テントの引っ越しをしたという話をききました。
そして、女性たちのティーパーティーの素敵なチラシと、毎回丘の上に集まって、女性たちがキャーキャーと楽しんでいる、とうれしそうに話しました。

次にあったときには、傷害を受けたその傷が治ってきているときでした。そして、キクチさんのはなしを聞いたのです。
私は断片的にみさこさんの話をきいていただけです。
でも、そこでは「何か動いている」と感じていました。みなに伝えた方がいいものが。
みさこさんが1つ1つ立ち止まって、そこから動いていったこと、他の人が動いていったこと、それらが絡んで、何か素敵なものが生まれている。
それは、ここにしかないかもしれないが、どこにでもあるような素敵なこと。

わたしは、みさこさんの話をききながら、
みさこさんのとらえた、公園の華であったキクチさんのこと(面白いのですから)、公園のくらし、公園の女性やネットワークのこと、そして、みさこさんの感じてきたことをもっともっと知りたいと思いました。

本は、
キクチさんに宛てた、みさこさんの手紙の形式で、二人のタイプは違うが、パンクで繊細で背筋の伸びた二人の女性の友情の物語になっています。そして、公園の暮らしが、素敵な文章とだんだん出来上がってきたうれしいかんじの素敵な絵で綴られていきます。

PS
さて、この本を計画し始めてから、もう半年ちかくたってきました。
その間、東京都のアパート移行事業が進行してきて、だいぶ公園からテント、人が減りました。だから、早く本をだしたい。でも、丁寧に作ってよりよいものを作りたい、二つの気持ちで揺れています。

PS
キクチさんに再会できました。それで、本づくりも盛り上がってきました。

Dearキクチさん(その1)” に対して3件のコメントがあります。

  1. キム より:

    TITLE: 楽しみです

    市村さんの本、楽しみにしてます!
    はやく読みたい!ですが、がまんします。
    じっくりつくってくださいね。

  2. 小川恭平 より:

    TITLE: ありがとう

    はい。じっくり作ります。
    それから、わたし、キムさんの日記のファンです。書き続けてくださいね。

  3. いちむらみさこ より:

    うおーーーーっし!
    やるぞ!

    PING:
    TITLE: 12月の現状
    BLOG NAME: ホームレス文化
    行政が目指していたとおりに、ぼくの住む公園では、「目に見える形」で、テント、小屋が減ってきた。その数は全体で50くらいだろうか。もともとは200以上あった。アパートに移行した人のテントは、取り壊され、跡地には、立ち入り禁止の看板と、虎柄(黄色黒)のロープ

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