キョートット出版とは (2005)
2000年1月、21世紀の幕開けと共に、居候中だった京都・田中の4畳半の部屋の一間の押入の中で誕生。
それから、5年、社会・人生を学びつつ、昼寝をしている牛のごとく続けてきました。つまり、言うは易し、行うは難し、いろいろ言ってはいても、実際に本を作ったりとくに売ったりあまりできませんでした。
でもその5年間は準備期間だったといえるかもしれません。今なら出来るような気もしており、これからキョートット出版でたくさん働いてみようと思っています。
その第一段として、5年前企画倒れに終わってしまった、「小川てつオ著 あたいのルンルン沖縄一人旅」を出版します。
この原稿は現在公園で生活しそこでカフェを運営しているアーティスト小川てつオ(34)の19才のときの日記で、彼の活動の出発点にあたるものです。
わたしも、当時20才、この日記には刺激をうけ、それは何か私の人生の出発点を飾っているようにも思います。
新生キョートット出版にふさわしい本になると思います。ご期待ください。
出版の方針
1 文化は素敵(ここは書き直したい)
情報の選別・発信元が東京ばかりなのは問題です。
それは例えば京都までも東京、いや東京の郊外になってしまうということ。そして郊外はとても退屈なのです。グローバルゼイションは本当に世界を退屈にします。
それに対して、豊かさとはつまり文化だと思います。様々な文化がこまかいところにあったり、うまれたり、そのことに敏感になりたい。
2 暴力反対、フェミ賛成
暴力の前で暴力反対をいうことは大変なことだとおもうが、とにかくがんばって掲げたい。
3 社会にどこかパンク
パンクはどこか繊細で、そのかげがちらりとみえるものに惹かれます。
4 生活をばかにせず、芸術をばかにせず
これは、箴言とかではなく、私にとっては、そうしかないだろう、ということです。
生活に力を入れ、芸術をばかにするような生き方があると思います。また、芸術に力を入れ、生活をばかにするような生き方もあるとおもいます。
どちらも、立派な生き方だと思うのですが、私は、だいたい中途半端な人間なので、どちらもちゃんと出来ない、その結果、生活、芸術どちらもばかにするようになっては、いけない。
そのいましめとして、どちらをもばかにしないということです。
今まで作った本
ワンペーパーブックを中心にしていました。
ワンペーパーブックスとは、一枚の紙でつくった本。B4の紙、一枚、折って、折って、折って、真ん中をホチキスでとめる。それをペーパーナイフで切って読む本です。
a. エロデパート1 荒木瑞穂著、「孤独庵主人金魚先生」
一刀一刀刻み込まれた刻印によってつづられる愛のロマンス。
かつて東洋の文人がおのれの性をここまで赤裸々に語ったことがあったろうか。エロスの思索者、荒木瑞穂による性愛文学の金字塔。200円 。
b. 小川てつオ著、コンビニ本4、「初日の出」 普及版
コンビニ本とはコンビニエンスストアの中で本をつくる/執筆、編集、印刷、製本までやってしまう本です。その中の4号はスリーエフ新高円寺店で1999年の元旦午後の4時から6時に5部制作されたものです。キョートット出版では現在手にはいらないこの本を普及版として世に出すことにしました。
さて、その年、小川てつオはすばらしい初日の出を見たといっていました。あら、どんな? 宇宙を感じる作品に仕上がっています。200円。
c. 小川恭平著、「onさんのこと」
私はonさんから自分の目や鼻に忠実であることを学びました。200円 。
d. 楡井耀三述、岡本旬子絵「なまず先生」
小川てつオが父(楡井耀三)に神田川になまずがいるから見においでとさそわれた。いってみると、耀三は人々から、なまず先生とよばれるようになっていた。なまず先生の語る、神田川のなまず、次郎長一家の話。200円。
e. 家族文芸雑誌「彷徨」1~4号
楡井耀三、渾身の小説「死の中」の連載を中心にした文芸誌。非売品。