Amazonに書誌データを提供するのを止めてみませんか?

みなさん、このサイトにアマゾンへのリンクがあることについて、どう思われますか? (以下、主に同業の人に対して書いています。)

キョートット出版は、始めるにあたって、グローバルゼイションに反対するということをかかげました。
https://kyototto.com/archives/174
Amazonはたぶんグローバルな企業で、まあそれはおいて、
いやいやそういうことかもしれないが、
アマゾンに腹が立つことが多いのだ。
一方で商売がうまいと感心もするんだけど、でもそのうまさについて考えれば考えるほど、腹が立ってくる。
なにかAmazonのためにただ働きをしている感じなのだ。

アマゾンのデータベース、新しい本に関しては他のウェブ書店よりも出来がよいので、書店さんでも本についてを調べるとき、それを使うわけなのですが、
Amazonはそれをあまり自分で作っていない。

データベース、それはネット本屋さんの命みたいなものです。
リアルな書店における本棚においてある一つ一つの本にあたるわけですから。
本は膨大な数あります。一冊一冊登録してデータベースを作っていく作業は大変なものです。
(アルバイトで図書館のデータベースを作くる作業をしていたのでよくわかる。BK1という日本で最初のネット書店を立ち上げたのは、図書館流通センターで、それはすでに図書館のデータベースをもっていたから可能になったと思われる。)

アマゾンではデータベースをほとんど自分のところで作っていない。だけど、Amazonのが一番よくできている。なぜか?
それは、我々出版社が一生懸命作っているからだ。
出版社はアマゾンのデータベースをがんばって作らざる得ない。なぜなら、本のことを調べるときアマゾンのデータベースを見るというし、そしてそこにはその本の売り上げ順位が書いてある。

アマゾンでの売れ上げ順位、それがどういう風に決まるか謎だけど、私でさえそれに一喜一憂してしまう。順位が上がるということは、アマゾンで本が売れていてうれしいということ以上に、売れている本と判断され、書店から注文されやすくなくということだ。
つまり、アマゾンの順位=本の評価ということにもなる。
だから、出版社はアマゾンで売れるようにAmazonのデータをよいものにしていかなくてはいけない。それで、ますますアマゾンのデータベースはよくなり、それで利用されやすくなる、というアマゾンにとっていい循環が生まれている。

(その上、アマゾンのサイトはとてもクローズだ。リンクはいつまでたってもアマゾンの中、Amazonの外に出れない。だから、我々が提供したデータは完全にアマゾンの資産となる。)

ここまでならまだいい。

(伝え聞くアマゾンの労働条件の悪さ、私は去年アエラの記事で読みました。ストップウォッチで計られながら、バイトの人が小走りででかい倉庫の中を集めて回るらしい。)

なぜアマゾンにだけ出版社は奉仕労働をしなくてはいけないのかわからないけれど、アマゾンで売れるということは、こちらにもお金が入ってくるわけで、まあいいとしよう。

しかし、そのベータベースでアマゾンは古本を売るということを始めた。マーケットプレイスという。
それがとてもよくできたシステムで、最初知ったときはびっくりした。

ある本を売りたい人は、アマゾンのデータベースで検索して、そこに、いくらで売るといった情報を入れることができるのです。
そして、取引情報の交換やお金のやりとりはアマゾンがしてくれる。本を売りたい人にとっては非常に便利です。
商品のカタログ(データベース)を自分で作らなくていいし、非常にアクセスのよいサイトで売ることが出来るのだから。
そして、アマゾンにとってはもっとおいしい。だって、ほんんど、ネット上の処理だけで、手数料という形でお金が入ってくるのです。本の発送作業をしなくてもいいし、本を置いておく倉庫もいらない。

さて、出版社にとってはどうでしょう。
本が人の手を渡っていき、いろいろな人に読まれるのは素敵なことだと思うので、古本の取引について、もちろん否定しませんよ、でも、出版社には全くお金が落ちません。
ばかばかしいと思いませんか。
アマゾンに、データを提供したのは、本を売ってもらいたいからです。それが、古本の取引にまで使われてしまう。
(うちの本などは、アマゾンに自身には在庫がなく、古本しか売っていないときもあるのです。)

出版社のみなさん、アマゾンにデータ提供するのやめませんか。

PS
google books、というサービスが始まっています。自社のページにもリンクが張れるし、出版社にとっても腹のたたないよく出来たシステムです。本の紹介のページを全部それに変えてもいいくらいに。でも、またグーグルかあ。

PS
アマゾンのカスタマーレビューについての問題。(気になります。)
http://d.hatena.ne.jp/yamaki622/20080409/p1

PS
アマゾンのアフェリエイトで、キョートットの本を紹介していただいているみなさま、
そのことはとてもうれしいです。続けてください!

PS
以上の文章は、出版社の立場で書いています。
読み終わった本や埋もれている本、絶版の本などを見つけて、それをマーケットプレイスで売ったりすることは、読者や本にとって素敵なことだな、と思います。実際わたしも利用させてもらっています。

Amazonに書誌データを提供するのを止めてみませんか?” に対して2件のコメントがあります。

  1. 京都ブロードタワー より:

    明日、そんな小川代表が
    古今烏丸で踊りながら営業をするという。

    ある意味、それこそ
    アマゾンに対応する手段と言えるといえますよね。

    夕方、古今烏丸に来ると小川代表にあえるかも。

  2. 小川恭平 より:

    前田さん、明日、久しぶりに会えますね。
    楽しみにしています。

    アマゾンと対決したいのかどうかわかりませんが、いちど文句をいってみたくなっていたのです。
    (このページ、タイトルを変更するかもしれません。)

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