いちむらみさこ、ロスジュネ、246キッチン

ロスジュネ2号にいちむらみさこさんが寄稿しています。
「殺す市民、カレーライスでつながり生き返れ」

圧倒的な迫力のある文章です。
電話でみさこさんと話したとき、暗いことを書いてしまった、といいました、
襲撃について、
東京の路上のダンボールハウスに向けて、通行人・市民が行う無数の暴力についてから文章ははじまる。
暴力を受け続けることで、憎しみがうまれ、人間不信になり、ついには自分も市民を襲う化け物になってしまいそうになる、
「そんな中、市民の中から正義の味方が現れる。そしてこのへなちょこの「悪」の主人公を退治する。」
「この「悪」の主人公=私は社会の常識や通念によって懲らしめられ、生き延びれない。」

そこでどうするか、それがこの後書かれていきます。
「殺す市民を脱退だ!」
そこには深い洞察とさまざまなアイデアがあります。

(「安全をお金に奪われてたまるか!」という言葉、深く考えさせられます。)

私がみさこさんがすごいな(みさこさんらしいな)と感じるのは、
例えば、
公園や教会で行われている炊き出しを野宿者だけのものにするのはもったいないと思った、
という感覚。
野宿者への炊き出しは、情報交換、当事者をつなぐ、共に生きる場。
「食べるということが命に関わる行為だとしたら、他人と一緒に食べると、一緒にそれぞれの命に関わる大イベントになる。」

それで、始めたのが246キッチン!
「私はコック長らの共同食卓を拡張し、この高架下で野宿している人から地続きにいる通行人も一緒にご飯を食べることを目指す246キッチンというのを始めた。材料は街や知人から余った食材を集めている。‥‥」

このお正月、私もその246キッチンに参加してきました。
人が少しづつ集まってきます。ちょっともってきたものとかで、食卓が賑やかになっていきます。おせちののこりなどで豪華にお正月っぽく。そして、みんなで野菜切ったりして、粕汁をつくりました。鍋が大きすぎてなかなか沸騰しない! でも温かい汁もできて、そして、韓国からの留学生のシンさんが中心となって作った、チヂミ、これがいままで食べたことのないくらいにおいしい。

横を通行人が通る中での、ダンボールにちゃぶ台をつなげた食卓、温かくおいしく楽しい食事。

「ホームレスホームという、路上生活の可能性を大切にしたい。襲撃などでつぶされたくないのだ。」

PS
みさこさんは、ホームレス・非ホームレスを、被害者・加害者を行き来する。それは、帳消しにしたりあいまいにしたりすることではない。逆にもっと深く、被害者を感じ、加害者を感じ、ホームレスを感じ、ホームレスでないを感じることだと思う。

PS
この文章は長居公園の強制排除のときに行われた芝居に対するオマージュのようにも感じました。

多くの人に、みさこさんのこの文章を読んで欲しいと思います。ロスジュネを手にとって。

いちむらみさこ、ロスジュネ、246キッチン” に対して1件のコメントがあります。

  1. 小川恭平 より:

    毎日新聞で、
    いちむらみさこさんの働く女性会議での発言が記事になっています。

    http://mainichi.jp/select/opinion/yuraku/news/20090210k0000e070064000c.html

    等々力さんが、その記事のこと、そしてみさこさんについて、すばりとしたすてきな紹介をしています。

    http://todorokite.exblog.jp/10338873/

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